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統計検定2級のCBT試験を受験してみた(合格しました)

Posted at — Jul 12, 2021

統計検定2級合格しました

統計検定受けてました。2級のCBT方式です。紆余曲折(?)ありましたがなんとか合格しました。

今回は、その顛末を覚えているうちに書いておこうと思います。一体験談としてどなたかの参考になれば幸いです。なお、この受験記は2021年7月における情報です。最新の受験に関する情報などは統計検定のオフィシャルページをご参照ください。

そもそも統計検定is何

「統計検定」は、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。 データに基づいて客観的に判断し、科学的に問題を解決する能力は、仕事や研究をするための21世紀型スキルとして国際社会で広く認められています。日本統計学会は、国際通用性のある統計活用能力の体系的な評価システムとして統計検定を開発し、様々な水準と内容で統計活用力を認定しています。

上記は、統計検定のオフィシャルページのからの引用です。上記のとおり、統計検定とは一般財団法人 統計質保証推進協会が実施している、統計に関する知識や活用力を評価し認定する資格です。1級から4級のレベル別に存在する統計検定のほか、統計調査士や専門統計調査士などがあります。

データサイエンティストと呼ばれる「さまざまなデータを収集し分析することでビジネスに活用する」人材があらゆる業界で求められている昨今、単純にプログラムが書けるだけではなくいかにデータを活用できる知識や技術があるか、それを証明するのに有効な資格と言えるかもしれません・・・言えるといいなぁ_( _´ω`)_ペショ

まぁ、全く資格が何もないよりはマシだと思います(遠い目

受験方式

統計検定の受験方式には2つあります。1つはペーパーテスト方式。こちらは1年に2回実施されます。特定の会場に受験者が集まって、みんなで一斉に受験する馴染み深いスタイルですね。

もう1つがCBT方式と呼ばれる方法です。CBT方式とは、全国各地に存在しているCBT方式による受験が可能な会場で、コンピュータを使って統計検定を受験できる方式です。ただ、どのレベルでもCBTで受験できるわけではありません。統計検定の2級から4級まではCBTとペーパーテストの両方が実施されていますが、準1級以上は現状のところペーパーテストのみです。

なお、準1級は2021年7月以降にCBTでの受験が可能になるようです。準1級って、選択肢じゃなくて記述で回答するスタイルだったような気がするけど。どうするんだろう。

従来の紙ベースな受験方式は1年に2回定期的に実施される(ただし、2020年はコロナウイルスによる影響でさすがに実施されなかった)のですが、CBT方式であれば好きな会場かつ好きなタイミングで受験できます。

また、CBT方式はテストが終わるとすぐに結果が出ます。そうです、その場で合否が判明します。よって、結果の通知までヤキモキする必要はありません。合格したら帰り道に自分へのご褒美でも買ってから帰ることができますし、不合格ならお通夜のような気分で帰宅できます。いやん。

自分が受験した統計検定2級は、「大学基礎科目レベルの統計学の知識の習得度と活用のための理解度」を問うために実施される検定です。よって、もし大学の講義で統計学を勉強していればそのまま合格できる程度の難易度、ということになります。基礎科目レベルとあるのがポイントで、発展レベルは準1~1級が対象です。

追記

2021年7月27日から準1級がCBTでも受験可能になりました。合格水準は2級のCBTと同様100点満点中60点に設定されています。問題数や試験時間は2級と大差ありません。ただ、出題形式が5肢選択問題のほかに、数値入力問題が新たに設定されている模様です。

さらに追記

1級以外の種別は、紙媒体を利用した従来の試験(PBT方式試験)が終了しました。準1級以下の種別におけるテストは、2022年以降すべてCBT方式による実施になっていたようです。マジかよ。

なんで受験したのよ

コロナ禍に世界中が騒然となっていた2020年に転職しまして、仕事内容がガラリと変わりました。これが地味に統計の素養が必要な仕事でして、ちょっと統計学を勉強しようかなーと思い始めていました。ただ、単純に勉強するだけじゃ張り合いがないしモチベーションも上がらないので、せっかく勉強するなら資格取るか!と思い立ったわけです。

大学では統計学を勉強していなかったものの、漠然と「まぁイケんじゃないかなー(ハナホジー」とか気楽に思ってたのですが、まあまあ苦労しました。結局、まともに勉強を始めてから合格するまでに3か月近くかかりました。これが長いか短いかはわかりませんが、ネットの情報を見る限り長めかな?という感じ。最短だと2週間っていう人もいるんだけど・・・すげぇ。

まぁ逆に言えば、大学で勉強してなくてほぼ知識ゼロから始めたとしても独学で取得できる程度の資格、ということになります。ソースは俺。

「ん?2020年に転職したのに受験したのは2021年?1年間近くなにしてたの?

いやー、そもそも資格勉強の前に業務知識を吸収するのでいっぱいいっぱいだったっていう理由がありまして。確保できた時間は業務知識の勉強に当ててたので、統計検定の勉強がその分後ろにズレこんだわけでして、異業種からの転職にありがちな話です。中途採用者のツラいところです。

あと、コロナ禍のためにCBT受験の会場も場所によっては一時的にですが受験休止してたりと、そもそも受験が実施されていなかったという理由もあります。とくにペーパーテストタイプの受験は2020年の実施を休止してたくらいなので、やっぱり新型コロナウイルスの影響は(もちろんこの資格の試験に限った話ではありませんが)すごかったですねぇ。

勉強のスタイル

勉強時間

平日は1~2時間程度を勉強に当てていました。社会人なので当たり前ですが、平日の昼間は仕事をしているわけです。してるってば。なので、平日で勉強できるのは夜のみということになります。また、休日だとしても家庭の事情で長時間は勉強に割けなかったため、確保できるのは最長でも4時間ほどでした。

なお、上記の時間は1日あたりで確保できる最長の時間です。よって、実際はもっと少なかったりします。まぁ、仕事で疲れちゃって勉強しない日もそこそこあったりしたけどね・・・それはそれとして。

前述のとおり、勉強を始めてから3か月近くかかって合格しているので、勉強時間の合計はざっくり計算すると100時間強ってところでしょうか。

参考書とか

なにはともあれ、まず欠かせないのは過去問です。統計検定は過去問をオフィシャルページで公開しています。単純に過去問を見てみたいという場合は、これを参照すればいいと思います。とくに、大学で勉強したなどの理由でもともと統計学の知識がある人は、いきなり挑戦してみてもいいかもしれません。ただし、あくまでもこれは過去問を公開しているだけなので、解説などはありません。じゃあ解説付きの過去問はないのかって?あるんですよ、それが。

それが、実務教育出版の日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集です。

「2級」と書かれていることからもわかる通り、1級など他のレベルについても別個に出版されています。また、直近4年分くらいをまとめて出版するので、上記のオフィシャルページより過去の問題も掲載されます。先述したように、こちらは過去問をただ掲載するだけでなくちゃんと解説もしてくれます。まぁ、この解説を見て解法が理解できるなら苦労しねぇよ!と言いたくなるような解説もあったりするので、全面的にこれだけを攻めればいいのはそれなりに統計の知識がある人だけになるでしょう。

そんなわけで、そもそも知識のない人がいきなり過去問に挑戦したところで返り討ちに遭うのは確実です。

じゃあ、そもそも知識がない人はどうするのよ?という問題なのですが、とても良い教材がインターネットには存在します。しかもタダ!(重要)なのです。それはどこかって?

それは統計web 統計学の時間です。このページは、統計検定2級に必要な知識がしっかりまとまっているありがたいサイトです。基本的に、ここの学習コンテンツをすべて身に着ければ、統計検定2級までならなんとかなります。3級なら楽勝でしょう。しかも、統計webのブログを検索すると過去問を解説している記事があります。至れり尽くせり、素晴らしい。

とはいえ、場合によっては上記のサイトだけでは理解ができない、なんてケースがあるかもしれません。あるいは、そもそも統計学とはなんぞや?という人にとっては、別のテキストをあたったほうがいいかもしれません。

自分の場合は、以下の2冊を副読本として用意しました。

どちらも著者は小島 寛之先生です。

とくに統計学入門の方は、「これ以上削ると統計学として成立しない最低限、ギリギリのライン」だけをとても丁寧に解説してくれています。この本を読んだだけで統計検定に合格するのはかなり難しいですが、統計学を学ぶうえでのスタートダッシュをキメるにはぴったりの本です。ベイズの方は単純に自分の趣味です。どちらの本も、統計学という比較的カッチリした内容を丁寧に読みやすく解説してくれるので、読み物としても十分に成立するくらいおもしろいです。オススメ!

あと個人的にはYouTubeも使ったりしました。ヨビノリさんにはお世話になりました。

なお、いろんなブログでも言われていることですが、統計検定の公式テキストは出来が初学者にはイマイチなので買う必要はありません。アレは、もともと統計学の素養があって手を動かした経験がある人が、「次の一押しが欲しい」と思って手を出すものです。準1級以上を取りに行く人はいいかもしれませんが、自分のようなド素人には分厚い壁でしかありませんし、内容からしてオーバースペックです。

勉強の流れ

まずは統計webの基礎編をメインに勉強します。それと並行して、隙間の時間では副読本を読み進めました。こういうとき、kindleはいいですね。スマートフォンにダウンロードしておけばすぐ読めるし。

統計webの基礎編が終わったら、過去問に取り掛かりました。とはいえ、この時点で半分も解ければいい方です。最初はそんなもんです。自分は5割行ってなかったかも。ひととおり解いたら、間違ったり理解があやふやな部分を復習しました。復習したらまた過去問に挑戦。間違ったところをまた復習・・・と、ひたすらこれの繰り返し。

ここまでやっておけば、大抵の場合ペーパーテスト方式への対応は十分だと思います。ええ、iPhoneならねペーパーテストならね。

いざ受験

CBT方式の詳しい受験方法はオフィシャルページに書いてあるとおりです。

たいていは、受験の時間の15分前くらいまでには受験会場に来いよ!と言われるので、ホイホイそのとおりに到着しましょう。到着したら受付を行い、統計検定を受ける旨を伝えます。ここで持ち物検査があります。当たり前ですが携帯電話やスマートフォンなどの電子機器、参考書などの類はロッカーに入れるよう言われます。さらに腕時計もダメです。スマートウォッチじゃない、ただの時計だったとしてもダメです。

ちなみに時間に関しては、CBTの画面に検定の残り時間が表示されるので時計がなくても問題ありません。会場によっては、壁掛け時計が設置されているところもあるかもしれませんが、いずれにせよ受験では使いません。

統計検定は電卓の持ち込みが可能です。というか、問題によっては平方根を計算する必要があるので、筆算あるいは暗算でも平方根を計算できるぜーという特異な方以外は必須アイテムです。ただし、関数電卓などは検定には利用できませんので、先述した持ち物検査のときにチェックされます。

持ち物検査が終わると、検定を行うPCに案内されます。机の上には計算用紙2枚と筆記用具、推定・検定用の数値表があるはずです。「って計算用紙、2枚だけじゃ足りないよ」と思われるかもしれませんが、要求すれば追加でもらえますのでご心配なく。なお、会場によっては「サインペン+ラミネート加工されたシート」を提供されるところもあるとか。どっちがいいかと言われれば、フツーに筆記用具+紙の方だと思います。こればっかりは、実際に受験してみないとわからないのが難儀なところ。

この時点で、すでに画面には統計検定のCBT画面が起動しているはずです。必要事項を確認・記入し、「受験を開始する」というようなボタンを押すと、その時点から検定開始となります。統計検定2級の場合、持ち時間は90分です。

持ち時間をすべて使い切ったり、「もうこれでいいやー」と自主的に検定を終了したら、次はいくつかアンケートに答えます。当たり前ですが、アンケート自体はとくに成績に反映されたりするようなものではないので、気軽に答えればいいと思います。あ、強いて言えばですが、成績優秀者はオフィシャルページにて公表してもらえる制度(慣習?)があります。なので、「もし成績良かったらwebページで名前とか公表していい?」と聞かれます。なので「公表していいよ」あるいは「公表しないで」と答えることになります。

アンケートの記入がすべて終了すると、受験結果がいきなり表示されます。この受験結果は紙でももらえますので、忘れず受け取りましょう。結果の受け取り方法は試験会場によって異なるようです。受験した席近辺のプリンターから自動で出力されるケースや、受付した場所で受け取るケースなど様々なようです。自分は受付で結果を受け取るケースでした。

あとはロッカーから荷物を回収して帰宅です。お疲れさまでした。

なお、正式な結果と資格の証明書は数週間後自宅に郵送されます。気長に待ちましょう。

合格ラインて何点なのよ

合格ラインはペーパーテストとCBTで異なっています。ペーパーテストは70点ですが、CBTは60点です。「お、なぁんだ、じゃあCBT受けたほうがボーダーライン低くて得じゃん」と思われるかもしれません。このあたりがミソで、ペーパーテストとCBTでは出題形式が微妙に異なるため、このような異なるボーダーラインを設置しているのだと思われます。

出題形式が違うってどういうことよ

ペーパーテストもCBTも出題される問題の総数は変わらず30問ちょっとです。ただ、ペーパーテストでは大問1つのなかに小問が1から3まであるような形で出題されることが多いです。そして小問2の回答は、小問1の回答がベースになっているケースも少なくありません。たとえば「小問1で単純な確率を、小問2で条件付き確率を、小問3でベイズの定理を使った確率を計算させる」というような出題形式となっています。

対して、CBTのほうは小問という概念が基本的にありません。そのため、相対的にCBTのほうが1回の検定で出題される範囲は広くなりがち、ということになります。そして、CBTは「プールされた問題をランダムで出題する」形式であるため、複数人が同じタイミングで同じ会場で検定を受験したとしても、試験問題まで同じかというとそんなことはありません。

個人的な感触ですが、出題されている問題の難易度で言えば、ペーパーテストとCBTでさほど差がある感じはしませんでした。ただし、ペーパーテストの過去問よりCBTの問題は少しヒネった問題が多かったように感じます。実際に出題された問題をここに書けないので伝えにくいのですが、ペーパーテストの小問3だけ集めたような感じと言えばいいでしょうか。たとえば独立性の検定なら、ペーパーテストでは小問1で理論値を計算させて小問2か3あたりで検定結果を答えるような問題でも、CBTではいきなり検定結果を答えさせるといった感じです。なので、ペーパーテストでは出てくるような難易度の低い問題が、CBTでは比較的出現しにくいと言えるかもしれません。

その結果、ペーパーテストと比較してCBTは出題に独特な「クセ」が生まれるため、前述のとおり合格ラインがペーパーテストとは異なる点数に設定されている・・・というのが個人的な推測です。同じ理由で、前述の過去問はペーパーテストをベースにしているため、過去問をやりこんで「ペーパーテストの出題形式」に最適化すぎると、CBT方式の受験では「CBT独特のクセ」のせいでちょっと戸惑うかもしれません。自分は戸惑いました。実を言うと、今回が初の受験ではありません。2回目です。つまり、1回目は不合格になっています。この出題形式の違いで戸惑ってしまって・・・とは、まぁ言い訳ですが。

まぁなにはともあれ

合格したから良い良い。終わりよければすべてよし!

自分で体験してみたので実感できますが、社会人でも独学でギリギリなんとかなるレベルの試験です。しかも、CBT方式いつでも受験できるのだからとりあえず受験してみるというのは良い選択肢だと思います。落ちても受験料以外に失うものはないしね!(1敗)

あ、ちなみにですがCBT方式における統計検定2級の受験料は7000円です。ペーパーテストだと5000円なので、ちょっとだけ高いですね準1級以下のペーパーテスト実施はなくなってしまったので、もはや過去のことですが参考までに。

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