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Korg Nu:Tekt NTS-2 Oscilloscope Kit レビュー

Posted at — Oct 28, 2023

概要

Nu:Tekt NTS-2 Oscilloscope Kit(以下、NTS-2)は、Korgが開発したDIYキットのオシロスコープです。音楽制作者向けに設計されており、オシロスコープ、FFT/スペクトルアナライザー、波形ジェネレーター、チューナーなど、多機能が搭載されています。

シンセサイザーなどの音楽機器を使用する上で、視覚的に信号を確認できるのは非常に有用です。NTS-2を使用することで、音声信号の動きをリアルタイムに確認しながら、正確な操作ができます。とくにアナログシンセサイザーを扱うとき、音を耳で確認することはもちろん波形をビジュアルで確認できると、理解度がより深まります。組み立ても簡単で、初心者でも扱える設計となっていながら上級者も満足な機能だと思います。

このNTS-2を買ってみたので、ちょっと感想を書いておこうと思います。結論から言ってしまうと、シンセを使って演奏するだけでなく「音作り」までこだわりたい人にとっては、必須って言ってしまってもいいんじゃない?という出来に仕上がっている製品でした。

特徴

4チャンネルオシロスコープの搭載

2つのステレオ入力により、最大4つの音源を同時に表示できます。表示モードは複数用意されており、2.8インチのカラーLCDで鮮明に表示されます。各チャンネルが別の色で表示され、見やすくデザインされています。

オシロスコープとは何か

オシロスコープは、電気信号を視覚的に表示するための計測器です。電流や電圧の波形をグラフとして表示できます。これにより、音楽の波形や周波数特性を解析し、詳細な情報を得ることができます。

オシロスコープは、音楽制作の現場で広く利用されています。たとえば、楽器の音色やエフェクトの設定の際に、音声信号の解析などに活用されます。また、音響機器の故障やトラブルの原因を特定するためにも使用されます。

オシロスコープのメリットは、音の波形を直感的に確認できるため、音色やエフェクトの微妙な変化を視覚的に把握することができることです。また、高周波や高速な信号の解析が可能であり、音声信号のクリアさや応答性を向上させることができます。さらに、複数の信号を同時に表示することができるため、楽器の相互作用や音響システムのバランスを調整できます。

FFT/スペクトラムアナライザの搭載

リアルタイムのスペクトル解析ができるので、音の周波数特性をグラフィカルに確認できます。

スペクトラムアナライザって何よ

スペクトラムアナライザは、音楽や音響信号の周波数成分を解析し、可視化するための計測器です。音声信号を周波数ごとに分解し、各周波数成分の強さをグラフとして表示します。

スペクトラムアナライザは、音楽制作やライブ演奏の現場で幅広く利用されています。たとえば、音楽のマスタリングやミキシングの際に、各楽器の周波数バランスを調整するために使用されます。また、ライブ会場や劇場などの音響設定でも使用され、音響環境の調整やフィードバックの抑制に役立ちます。

スペクトラムアナライザを使うことで、各楽器や音声の周波数バランスを正確に把握できます。それにより、音楽の明瞭さやパンチのあるサウンドを実現できます。また、フィードバックやノイズの問題を早期に検出できます。異常なピークやエネルギー分布の不均一さを視覚的に確認し、問題を解決する手助けをします。さらに、複数の周波数成分を同時に表示することができるため、音楽全体の周波数特性を把握し、バランスの調整やエフェクトの設定に役立ちます。

波形ジェネレーターの搭載

矩形波、三角波、ノイズなど、さまざまな波形を2チャンネル出力できます。他のシンセに入力して、LFOやエンベロープジェネレータとしても利用可能です。

ジェネレータって何よ

ジェネレーターは、音楽的な要素を生成するための機器やソフトウェアです。エンベロープジェネレータをはじめ、さまざまな種類が存在します。

エンベロープジェネレータは、音の始まりや終わり、音量の上下など、音の変化を制御するためなどに使用されます。たとえば、シンセサイザーの音にエンベロープジェネレータを使うことで、VCOで発生させた音に対し音の立ち上がりや減衰を調整し、音に膨らみフェードアウト効果のような表情を加えることができます。

また、ジェネレーターはLFO(Low Frequency Oscillator)としても利用されます。LFOは、低い周波数で振動する信号を生成し、それを他のパラメーターに適用することで、音楽的な効果を生み出します。たとえば、LFOを使って振動するフィルターやパンニング効果を作り出すことができます。

エンベロープジェネレータを使うことで、音の表現力を豊かにできます。音の立ち上がりやフェードイン・フェードアウトなど、細かな音の変化を自由に調整できます。これにより、音楽の表現力やダイナミクスを向上させることができます。

チューナーの搭載

正確なチューニングができるチューナー機能が搭載されています。

NTS-2のチューナーは、利用するシチュエーションから鑑みるとアナログシンセサイザーのチューニングに利用するケースが多いかもしれません。昨今は、アナログシンセサイザーといえども「シンセサイザー自身がオートチューニングできます」みたいな機材もありますが・・・。

DIYする機材

NTS-2は自分自身で組み立てます。とは言え、はんだ付けなどは必要ありません。基本的には、説明書にしたがってビス止めや基盤の接続を行えば完成するはずです。自分は、組み立てにかかった時間はだいたい15分くらいだと思います。

なお、組み立てに極小のビスを扱うので、小さいお子さんがいらっしゃるご家庭では注意してください。

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箱の外観は、いつものKORG仕様。統一感があっていいですよね。

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横から見ると若干フタが浮いてますが、多分仕様です。仕様だと思いますw

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開けるとこんな感じ。少し赤いプチプチに入っているのは、NTS-2の基盤です。

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基盤は2つはいってますが、大きい方が本体の外側にあたるものです。小さいのは入力端子が配置された、内部に結束するための基盤です。

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基盤を取り出したところ。見た目、薄い板にディスプレイなどの部品が載っているような感じです。が、そこまで軟な感じではないので安心。

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紙の取り扱い説明書付き。組み立て方の手順が各言語で書いてあります。組み立て方自体はこの説明書に記載されているとおり進めれば、20分程度で終了すると思います。

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組み立ててみた感じ。

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ディスプレイの保護フィルムを剥がすの、忘れてますね(恥

利用シーン

シンセサイザーを使用する際に、音声信号の動きをリアルタイムに確認しながら操作できるので、非常に理解が深まります。とくにセミモジュラーまたはモジュラーシンセを使用する際、各パラメータの変更が即座に視覚的に確認できるのは大変便利です。実際、KORG製品にはminilogueのように、シンセサイザー自体に波形を表示するシンセサイザーが存在します。

しかし、これはこれらの製品が特殊なのであって、たいていのシンセサイザーには波形表示の機能が存在しません。もちろん、楽器なので「耳で音を確認すりゃいいじゃん」はたしかにその通りです。とは言え、耳だけでなく目でも確認できる手段があるのですから、利用しない手はありません。それにVolca Modularのように比較的安価なモジュラーシンセが売られている昨今、モジュラーシンセを買ってはみたけど操作に対して音の変化がいまいち分かりにくい・・・なんて悩みもNTS-2で視覚化することで解決するかもしれません。

総じてユーザーフレンドリーながら良心的な価格で、シンセサイザーを理解する一助になってくれる良い製品だと感じました。

Nu:Tekt NTS-2の気に入った点

Nu:Tekt NTS-2のイマイチな点

まとめ

Nu:Tekt NTS-2は、音楽制作者にとって大変有用なオシロスコープキットです。信号をリアルタイムに確認しながら音声を操作できるので、音声の理解が深まります。シンセサイザーを学習するには最適なツールだと言えます。とくに、モジュラーシンセを使い始めたユーザーにはだいぶ助かるのではないでしょうか。コンパクトサイズで持ち運びもラクラクです。Korgユーザーはもちろん、音楽制作に興味がある方にオススメの一品です。

参考

  1. Nu:Tekt NTS-2 oscilloscope kit
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